みなさま、ごきげんよう
まずはこちらをご覧ください。
こちらは@OZY_Project97さんという方が作成した、ポケモンSV用ダメージ計算アプリ【VS SV】にて、Lv1ポケモン同士のダメージを計算した画面です。
こだわりハチマキと言えば、1.5倍の補正が掛かるアイテムですよね。
対していのちのたまは、1.3倍の補正が掛かります。
でもこの画像のであいがしらの技を見ると、ダメージの最低値がこだわりハチマキだと7なのに、いのちのたまは8と出ています。
また、むしくいの技を見ると、ダメージの最高値がこだわりハチマキだと7なのに、いのちのたまは8と出ています。
これってとても不思議ですよね、なぜこうなっているんでしょうか。
通常のポケモンバトル、すなわちLv50同士では「こだわりハチマキ補正 > いのちのたま」というのは常識です。
しかしLv1同士のポケモンバトルではこのように、こだわりハチマキよりいのちのたまのほうが与えるダメージが大きい場合があります。
今回の記事は、あなたの知らないLv1の世界ということで、Lv1同士の戦いでしか発生しないポケモントリビアを一つ、紹介しましょう。
なおかなりマニアックな内容ですので、覚悟してご覧ください。
- ポケモンにおけるダメージ計算の仕組み
- 計算式にないダメージ補正の考え方
- ダメージ量に補正が乗る命の珠
- 道具ごとの実際のダメージ計算比較
- 結論:Lv1同士なら確かに、命の珠のほうが、与ダメが大きい場合がある
- 命の珠を活かせる場面
ポケモンにおけるダメージ計算の仕組み
さて冒頭でも語りましたが、Lv1同士の戦いではLv50のときと比べて特殊なダメージ感覚が必要です。
こだわり鉢巻やこだわり眼鏡より、命の珠のほうがダメージ量が多い場合があります。
そのほかにも、威力の差が10~20程度なら与えるダメージが同じという場合もあります。
裏を返せば、Lv1同士のポケモンでは、技の威力より追加効果を優先したほうが期待値が高い場面が多い、ということですね。
それではまずポケモンのダメージ計算式について解説いたします。
なお詳細についてはすでにWikiや有志の方がまとめておられるので、そちらも併せてご参考ください。
ダメージ = { ( 攻撃側のレベル × 25 + 2 ) × 威力 × 攻撃防御 } × 150+2 × 乱数(0.85~1.00のうち0.01刻みの16通り)
なんか分数とか括弧とかが多くて、一見すると訳が分かりません。
ポケモンのダメージ計算ってこんなに複雑な処理が行われていたんですね。
まずこの計算式は主に4つの処理から成り立っています。一つずつひも解いていきましょう。
- 攻撃側のレベル × 25 + 2
- 処理1 × 威力 × 攻撃防御
- 処理2 × 150 +2
- 処理3× 乱数
処理1:攻撃側のレベル調整
攻撃側のレベル × 25 + 2
ポケモンのダメージ計算のすごいところは、同じレベル同士ならどれだけレベルが上がろうとも、攻撃側と防御側の有利不利に大きな差が生まれないということです。
Lv50のポケモンの攻撃で、相手のLv50のポケモンをようやく倒せることができるダメージというのは、Lv100になってもLv100のポケモンをようやく倒せるダメージになります。
詳しい解説は有志の方がまとめておられるのでここでは割愛しますが、とにかく処理1では攻撃側のレベル調整が行われます。
例えばこの式にLv50のポケモンを当てはめると、50 × 25 + 2 = 22 となります。
処理2で出てくる威力の計算に22という定数を掛ける形です。
Lv1なら、1 × 25 + 2 = 2(小数点以下切り捨て) となります。
処理2で出てくる威力の計算に2という定数を掛ける形です。
Lv50との差は実に11倍です。
なおポケモンのダメージ計算は、この4つの処理それぞれに小数点以下切り捨ての処理が加わります。
Lv1ルールでは処理1は"2"という数値になると覚えてもらえたら幸いです。
処理2:威力と攻撃/防御の調整
処理1 × 威力 × 攻撃防御
ポケモンバトルのダメージ計算の一番大事な要素がここに詰まっています。
すなわち技の威力、そして自分の攻撃(特攻)と相手の防御(特防)ですね。
ここではまず、攻撃と防御の数値から見ていきましょう。
Lv1ルールでは、お互いの攻撃・防御のステータス実数値は、そのほどんどが5~8の間に収束します。
しかし8という数値を持つポケモンは、ポケモンSVのLv1ルールで使えるポケモンに該当するものは少ないです。
そして5という数値は一般的に、平均よりやや弱めという評価を受けます。
ですからここではステータス実数値6と7の場合を想定しましょう。
攻撃と防御に掛ける係数が6と7のみなら、Lv50を想定するよりずっと簡単に考えられるはずです。
攻撃側と防御側の組み合わせは主に次の4パターンでしょう。
- 攻撃側6 / 防御側6
- 攻撃側7 / 防御側6
- 攻撃側6 / 防御側7
- 攻撃側7 / 攻撃側7
このうちパターン1とパターン4はともに1という結果が導き出されますので、実質的にはほとんどの場合、次の3パターンが適応されることが多いです。
- 攻撃/防御 = 1
- 攻撃/防御 = 1.1666...
- 攻撃/防御 = 0.8571...
ここまでをまとめると、Lv2における処理2のパターンは、次のようになります。
処理1 × 威力 × 攻撃防御 に当てはめると……
- 2 × 威力 × 1
- 2 × 威力 × 1.1666...
- 2 × 威力 × 0.8571...
更に式を解いていくと、処理2では次のことが言えます。
- お互いステータスが同値なら 2 × 威力
- 攻撃側が7、防御側が6なら 2.333... × 威力
- 攻撃側が6、防御側が7なら 1.714... × 威力
さて、さすがに技の威力を想定するにはパターンが多すぎます。
ここでは技の威力を70と仮定しましょう。
それらを上のパターンに当てはめると、最終的な処理2の値は次のようになります(端数切り捨て)。
- お互いステータスが同値なら 処理2=140
- 攻撃側が7、防御側が6なら 処理2=163
- 攻撃側が6、防御側が7なら 処理2=120
重ねて補足しますが、ここでは一応ステータス実数値5や8は無視しています。
それを踏まえた上でここでは、Lv1ルールにおいて威力70の技を使う際の処理2は140、163、120の3パターンであると結論づけることとします。
処理3:相手に与えるダメージ値の決定
処理2 × 150 +2
この処理は、相手に与えるダメージ値を決定づけるものになっています。
処理2では、威力70の技に対して140、163、120という数値が割り当てられました。
この数値を、相手ポケモンのHPに与える最終的なダメージ値という形で処理します。
処理2で出した3パターンにそれぞれなぞらえましょう。
もちろんこの処理も、全て小数点以下切り捨てで算出します。
- 140 × 150 +2 ≒ 4
- 163 × 150 +2 ≒ 5
- 120 × 150 +2 ≒ 4
ここで、処理3で求められた値が4か5の2パターンであることが分かりました。
これまでの話をまとめると、Lv1のポケモンが威力70の技を使った時、次のことが証明されます。
- お互いの攻撃(特攻)力と防御(特防)力が同じ値なら、相手に4ダメージを与えることができる。
- 自分の攻撃力が7、相手の防御力が6なら、相手に5ダメージを与えることができる。
- 自分の攻撃力が6、相手の防御力が7なら、相手に4ダメージを与えることができる。
この証明を見ると、攻撃側のステータスが1高ければ、相手に与えるダメージが増えることが分かりました。
ほとんどのポケモンのステータス実数値が5~7程度しかないLv1ルールにおいて、ステータス実数値7を持つポケモンがいかに優れているのかが理解できたと思います。
また、Lv1ルールではほとんどのポケモンのHP実数値が11~13です。
相手のHPが11か12なら、4ダメージも5ダメージも共に確定3発(4×3=12、5×3=15)で期待値は同じですが……。
相手のHPが13以上なら、4ダメージと5ダメージでは確定4発と確定3発という明確な差が生まれます。
ポケモンは1ターンごとの駆け引きが重要なゲームなので、1ターンでも早く相手を倒すためには、やはりステータス実数値1の違いが重要になってきそうです。
処理4:乱数値を含めた最終的なダメージ量の決定
処理3× 乱数
ここで最後の処理に入ります。
処理3では、Lv1のポケモンが威力70の技を使うと、相手に与えるダメージが4か5になる……ということまでは分かりました。
しかし絶対に4か5のダメージを与えられるとは限らないのが、ポケモンバトルです。
最終的なダメージ量の決定には乱数と呼ばれる16通りの係数が存在します。
例えばダメージ計算において確定1発という表記は【16通りの乱数幅のうち、全ての乱数値で相手を確実に倒すことができる】ということを意味しますね。
乱数1発(○%)という表記なら【1回の攻撃が(16通りの乱数幅のうち)○%の確率で相手を倒すことができる】ということになります。
ダメージ量の絶対値を決めてしまうとゲームとしての面白さが半減しますので、このように乱数幅をもたせることであえて不規則性を作り、ハラハラドキドキな駆け引きを生み出しているわけですね。
ポケモンのダメージ計算における16通りの乱数とは、処理3で得られた値に(0.85~1.00のうち0.01刻みの16通り)の掛け算を行うことです。
それでは、相手に与えるダメージが4の場合と5の場合とで、乱数がどのように変わるか見ていきましょう。
もちろんこの処理も、全て小数点以下切り捨てで算出します。
● 処理3でのダメージ値「4」(小数点以下切り捨て)
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 4 |
● 処理3でのダメージ値「5」(小数点以下切り捨て)
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 |
処理3で「4」や「5」という値が出ても、最終的にそのダメージを出せるのは1/16の確率、つまりたったの6%程度しかありません。
これはどういうことなのかと言うと、Lv1ルールならではのステータスの低さと、小数点以下を切り捨て処理することが関係します。
Lv1ルールではそのステータスの低さから、与えるダメージが1桁しかないという場面も珍しくありません。
つまりは、たったの1~9ダメージしか与えられないと……。
※HPも11~13の世界なので、一度に9ダメージも与えられたら本当は大したものですが。
そして小数点以下を全て切り捨てるということは、乱数においては最大乱数の1.00倍のみが、切り捨て処理が行われない唯一の乱数値となります。
1.00未満は全て小数点が絡む計算となりますので、得られる結果は必ず処理3の値より小さくなります。
もちろん2桁以上のダメージなら話は変わりますが、ひとまず1桁台のダメージだと最大乱数のみが期待通りの結果になるとお考え下さい。
それでは処理1~4の総括を述べます。
- Lv1同士のポケモンが威力70の技で戦うと、相手に3~5ダメージを与えることができる。
計算式にないダメージ補正の考え方
いやいや、ちょっと待ってよと。
ポケモンバトルって、そんな単純なゲームでしたっけ。
タイプ相性や特性、道具、天候、壁……
もっと様々な要因が複雑に絡み合うゲームでしたよね!?
ということで前置きはここまでにして……。
お待たせしました、いよいよダメージ補正について解説するお時間です。
ポケモンバトルのダメージ補正一覧
ポケモンバトルでは、ダメージ量を決定する際に掛けられる補正というものがあります。
具体的には、処理1~4のほかに以下の補正が乗ることで、最終的なダメージ量が決定します。
- タイプ一致
- タイプ相性(弱点、抵抗、無効)
- テラスタル
- ランク(6段階)
- 複数対象かどうか
- 急所
- 技の追加効果
- 特性
- 道具
- 壁(光の壁、リフレクター等)
- 天候(強化、弱化)
- フィールド(強化、弱化)
- 異常状態(やけど)
- ……等々
我々はポケモンというゲームで遊ぶとき、知らず知らずのうちに、あるいは意識して、これだけの展開要素を考えながらポケモンバトルをしています。
こうやって文字に起こしてみると、実際ポケモンバトルって考えることめちゃくちゃ多くないですか?
幼いころからポケモンに慣れ親しんでいる人ならいざ知らず、大人になって初めてポケモンバトルに参入される方は、この考えることの多さに参ってしまっていることでしょう……。
処理1(攻撃側のレベル)に乗る補正
攻撃側のレベル × 25 + 2
処理1で変動する値は攻撃側のレベルしか定められておりませんので、補正はありません。
処理2(威力、攻撃、防御)に乗る補正
処理1 × 威力 × 攻撃防御
処理2で変動する値は、攻撃側の威力、攻撃側の攻撃(特攻)力、防御側の防御(特防)力です。
当たり前ですが、ここに乗る補正が一番重要で、そして分かりやすい補正です。
細かい話になりますが、ポケモンでは技の威力に補正が乗るものと、攻撃等のステータスに補正が乗るものがあります。
技の威力で言いますと、例えば特性ならてきおうりょく、てつのこぶし、ちからずくといったようなものが「技の威力を上げる」ものになります。
道具なら各種プレートやパンチグローブ、ノーマルジュエルなど……
技の追加効果でしたらからげんきやベノムショックなど……
考え方として、技の威力に乗る補正というのは「ステータスを強化」するのではなく「技そのものを強化」するイメージです。
特性てきおうりょくは「威力60以下の技の威力を1.5倍」にしますし、
プレート系統の道具は「そのタイプの技の威力を1.2倍」にします。
からげんきやベノムショックは、特定の状況で「その技の威力を2倍」にしますね。
では攻撃や防御等のステータスに乗る補正として分かりやすいのは……。
例えば特性ならこんじょうやサンパワー、ヨガパワーが攻撃側のステータスに乗ります。
特性こんじょうは「状態異常なら攻撃1.5倍」、特性サンパワーは「晴れなら特攻1.5倍」ですね。
防御に乗る補正は、特性ふしぎなうろこやファーコートです。
また、ポケモンSVの準伝説が持つ「わざわいの○○」という特性も、この攻撃や防御等のステータスに乗る補正となります。
ちなみに道具で攻撃(特攻)や防御(特防)のステータスを上昇させるのは、ポケモンSVだとこだわりハチマキ、こだわりメガネ、でんきだま、しんかのきせき、とつげきチョッキ、メタルパウダーの6種類しかありません。
威力に乗る補正とステータスに乗る補正は何が違うのか
では、技の威力に補正が乗る場合と、ステータスに補正が乗る場合とで、計算はどう変わるのでしょうか。
ここでは分かりやすく、次のパターンを想定しましょう。
- 威力60の技、自分の攻撃力6、相手の防御力6
- パターン1の技の威力を1.3倍(威力78)にした場合
- パターン1の攻撃力を1.3倍(7、端数切り捨て)にした場合
次に、ダメージ計算式を思い出していただきます。
ダメージ = { ( 攻撃側のレベル × 25 + 2 ) × 威力 × 攻撃防御 } × 150+2
※今回は乱数(処理4)は無視します。
さて、処理1と処理3は一定の値になりますから、次のように式を置き換えると明瞭です。
ダメージ = { ( 2 × 威力 × 攻撃防御 ) × 0.02 } +2
【パターン1】威力60の技、自分の攻撃力6、相手の防御力6
Lv1ルールにおける平均的なポケモンの戦いを想定しています。
処理1 | 処理2 | 処理3 | 結果 | ||
威力 | 攻撃 | 防御 | |||
2 × | 60 | 6 | 6 | × 0.02 + 2 | 4 |
この場合、相手に与えるダメージは4と出ました。
【パターン2】パターン1の技の威力を1.3倍(威力78)にした場合
処理1 | 処理2 | 処理3 | 結果 | ||
威力 | 攻撃 | 防御 | |||
2 × | 78 | 6 | 6 | × 0.02 + 2 | 5 |
この場合、相手に与えるダメージは5と出ました。
技の威力が上がったことで、ダメージ量が増えたことが分かります。
【パターン3】パターン1の攻撃力を1.3倍(7、端数切り捨て)にした場合
処理1 | 処理2 | 処理3 | 結果 | ||
威力 | 攻撃 | 防御 | |||
2 × | 60 | 7 | 6 | × 0.02 + 2 | 4 |
この場合、相手に与えるダメージは4と出ました。
なんと、技の威力を1.3倍にしたときと、攻撃力を1.3倍にしたときとで、与えるダメージに差が生じてしまいました。
こうなってしまう原因は、全ての処理でそれぞれ小数点以下切り捨ての処理が発生してしまうからです。
60を1.3倍すれば78になることは明白ですが、この小数点以下切り捨ての処理によって、ポケモンバトルの世界では6を1.3倍にしても7にしかなりません。
60→78への上がり幅は間違いなく1.3倍ですが、6→7へはたったの1.16倍にしかなっていませんね。
ですからLv1ルールでは、攻撃実数値6のステータスに補正を掛ける場合、1.2倍と1.3倍は同じ結果を生みます。
それだけでなく、6というステータスに1.1倍の補正を掛けても、小数点以下を切り捨てるので6より増加することはありません。
これが、Lv1ルールにおいて性格の上昇補正が適応されないカラクリです。
Lv50同士のポケモンバトルでは全く気になりませんが、Lv1ルールでは技の威力を上げることとステータスを上げることには大きな違いがあることを覚えておく必要があります。
処理3~4(ダメージ量)に乗る補正
ここまでで、ポケモンバトルには技の威力に補正が乗るものと、ステータスに補正が乗るものとがあることを説明しました。
ですが最後に、ダメージ量に補正が乗るものがあります。
「ダメージ量に補正が乗る」とはすなわち、技の威力や攻撃、防御に掛かる補正を計算した処理3の後に計算されるものです。
処理4の乱数補正を含めると、ここで処理されるものは次の通りになります。
なお下記の順は、計算処理される順番と同じ(処理1の計算と切り捨て→処理2の計算と切り捨て→処理3の計算と切り捨て→下記処理)です。
- 複数対象:0.75倍→五捨五超入
- 天候弱化:0.5倍→五捨五超入
- 天候強化:1.5倍→五捨五超入
- 特性きょけんとつげき直後:2倍→五捨五超入
- 急所:1.5倍→五捨五超入
- 乱数補正(0.85~1.00倍のうち0.01刻みの16通り)→切り捨て
- タイプ一致:1.5倍(適応力なら2倍、更にタイプ一致テラスタルなら2.25倍)→五捨五超入
- タイプ相性:2~4倍または0.5~0.25倍または0倍→切り捨て
- やけど:0.5倍→五捨五超入
- その他、一部の技や特性や道具等の補正→五捨五超入
- タイプ相性が0倍でないとき、ダメージ1未満は1とする処理
※厳密には分母に4096を用いた補正値で計算されるが、この記事では省略する
※五捨五超入とは:0.5以下なら切り捨て、0.5より大きければ切り上げ
処理1~処理3だけでも大変だったのに、処理4の乱数補正の前後でまだこんなに計算される補正があったなんて……!!
あまりに多すぎますので、全ては解説しきれません。
ここでズバリ注目していただきたいポイントは3つです!
- 計算後に五捨五超入するものがある
- 乱数補正の前と後にそれぞれ入る補正がある
- 一部の技や特性や道具等の補正は全ての処理が終わってから計算される
これまでずっと「補正は小数点以下切り捨てで行います」と伝えてきましたが、ここに来て最後の駆け込み補正たちはほとんど五捨五超入(0.6以上繰り上げ)なんですよね。
処理1~3では、どんなに小数点が大きくても全て切り捨てられていましたが……処理4では一部の補正で0.6以上なら繰り上げる計算となり、この処理は数値の変動が少ないLv1ルールにおいて嬉しい誤算となります。
更に、乱数補正をする前はもちろん、乱数補正をした後にも更に補正が掛かるものがある、ということが分かりました。
赤字部分のその他、一部の技や特性や道具等の補正では、次のものが含まれます。
【技】
- アクセルブレイク:弱点で1.3倍
- イナズマドライブ:弱点で1.3倍
【特性】
- スナイパー:急所ダメージが1.5倍→2.25倍
- いろめがね:効果いまひとつの技が2倍
- もふもふ:対象に炎技を使うと2倍
- もふもふ:対象に直接攻撃を使うと0.5倍
- マルチスケイル:体力MAXなら0.5倍
- パンクロック:対象に音技を使うと0.5倍
- こおりのりんぷん:対象に特殊技を使うと0.5倍
- フレンドガード:0.75倍
- ハードロック:0.75倍
- フィルター:0.75倍
【状態】
- 壁(単体対象):0.5倍
- 壁(複数対象):0.67倍
- 半減木の実:0.5倍
- 小さくなる状態で威力上昇技:2倍
- 穴を掘る状態で威力上昇技:2倍
- ダイビング状態で威力上昇技:2倍
【道具】
- メトロノーム:使用ごとに1.2倍
- たつじんのおび:効果ばつぐんで1.2倍
- いのちのたま:1.3倍
ここでようやくいのちのたまが出てきたところで、タイトル回収といきましょう。
ダメージ量に補正が乗る命の珠
これまでの話を「ダメージ量を増加させる道具」に絞ってまとめます。
- プレート系アイテムは技の威力を1.2倍にする
- こだわり系アイテムは攻撃力を1.5倍にする
- いのちのたまは最終的なダメージ量を1.3倍にする
いのちのたまは威力や攻撃に1.3倍の補正がかかるのではなく、ダメージそのものに1.3倍の補正がかかります。
ですのでいのちのたまの計算処理は他のアイテムとは違うと言われています。
というか何ならプレート系アイテムとこだわり系アイテムとでも補正の計算方法が違います。
これらの違いは、やはりLv50同士のポケモンバトルなら気になりませんが、Lv1同士ではこだわり系アイテムの1.5倍よりいのちのたまの1.3倍のほうが大きいダメージを出せる場合があるという話に繋がるんです。
道具ごとの実際のダメージ計算比較
冒頭の画像の状況について、計算式にあてはめながら実際のダメージ計算を比較します。
【であいがしら(威力90)】+【こだわりハチマキ(攻撃1.5倍)】
- 【処理1】1 × 25 + 2 = 2(切り捨て)
- 【処理2】2 × 90 × 96 = 270(切り捨て)
- 【処理3】270 × 150 +2 = 7(切り捨て)
- 【処理4】7 × 乱数(切り捨て) × 1.5(五拾五超入) = 下図
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 7 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 10 |
【であいがしら(威力90)】+【いのちのたま(ダメ1.3倍)】
- 【処理1】1 × 25 + 2 = 2(切り捨て)
- 【処理2】2 × 90 × 66 = 180(切り捨て)
- 【処理3】180 × 150 +2 = 5(切り捨て)
- 【処理4】5 × 乱数(切り捨て) × 1.5(五拾五超入) × 1.3(五拾五超入) = 下図
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 9 |
【むしくい(威力60)】+【こだわりハチマキ(攻撃1.5倍)】
- 【処理1】1 × 25 + 2 = 2(切り捨て)
- 【処理2】2 × 60 × 96 = 180(切り捨て)
- 【処理3】180 × 150 +2 = 5(切り捨て)
- 【処理4】5 × 乱数(切り捨て) × 1.5(五拾五超入) = 下図
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 7 |
【むしくい(威力60)】+【いのちのたま(ダメ1.3倍)】
- 【処理1】1 × 25 + 2 = 2(切り捨て)
- 【処理2】2 × 60 × 66 = 120(切り捨て)
- 【処理3】120 × 150 +2 = 4(切り捨て)
- 【処理4】4 × 乱数(切り捨て) × 1.5(五拾五超入) × 1.3(五拾五超入) = 下図
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 8 |
結論:Lv1同士なら確かに、命の珠のほうが、与ダメが大きい場合がある
【であいがしら】でのハチマキと珠の比較
- こだわりハチマキ→1/16の確率(6.25%)で10ダメ、14/16の確率(87.5%)で9ダメ、1/16の確率で7ダメ
- いのちのたま→1/16の確率で9ダメ、15/16の確率(93.75%)で8ダメ
【むしくい】でのハチマキと珠の比較
- こだわりハチマキ→1/16の確率で7ダメ、15/16の確率で6ダメ
- いのちのたま→1/16の確率で8ダメ、15/16の確率で5ダメ
検証結果
Lv1同士なら1/16の確率(6.25%)で、命の珠のほうが与ダメージが大きい場合がある
パチパチパチパチ......
乱数や五捨五超入、切り捨て等の条件が複雑に絡み合うことで、不確定ながら確かに命の珠のほうがこだわりハチマキより大きいダメージ量を算出しました。
でも残り93.75%の確率で、こだわりハチマキを持たせたほうがダメージ量が大きいことも分かりましたね。
……え、これで終わり?
命の珠を活かせる場面
それならやっぱりハチマキ使うわーい!!
となったそこのあなた、引き返すのはまだ早いです。
ちゃんと命の珠のほうが良いという場面が、Lv1ルールにはあるんです。
それがこちら。
【タイプ一致連続技の1発】+【いのちのたま】
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 |
【タイプ一致連続技の1発】+【こだわりハチマキ】
乱数 | 0.85 | 0.86 | 0.87 | 0.88 | 0.89 | 0.90 | 0.91 | 0.92 | 0.93 | 0.94 | 0.95 | 0.96 | 0.97 | 0.98 | 0.99 | 1.00 |
ダメ | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 4 |
そう、Lv1のポケモンが連続技を使う場合は、こだわりハチマキより命の珠のほうが強いんです。
※記載を省略していますが、タイプ一致技じゃない方も、ハチマキより珠のほうがダメージ量は大きいです
それもさっきのような1/16とかいう確率じゃなく、全ての確率において命の珠のほうが必ず高火力を出せます。
こだわりハチマキなら4回当てないとHP12のポケモンを倒せないところ、命の珠なら3回当てれば倒せるんですね。
この現象は、これまでに述べた【ステータスに補正が乗るか、最終的なダメージ量に補正が乗るかの違い】、そして【命の珠に五捨五超入の処理が入ること】が理由です。
技の威力が小さければ小さいほど、ステータスに補正が乗るこだわりハチマキより、最終的なダメージ量に補正が乗る命の珠のほうが火力が出る、という仕様になっています。
それはこれまで解説してきた式の中で証明されていますね。
ですので皆さん、Lv1ルールで連続技を持つポケモンを使う場合は、こだわりハチマキより命の珠を持たせたほうがお得ですよ!
何ぃ?
ポケモンSVで、連続技を必ず4回以上当てる新アイテムが出た、だぁ!?
じゃあそっち使ったほうがお得じゃねーか!!!(終
参考サイト